わからないことはわからんと言う

日々のわからないことについて考え、それでわからなければわからんと言うブログ

Outcomes Over Output: Why customer behavior is the key metric for business success を読んだ

概要

  • 企業のプロダクトチームの1メンバーである自分が読むと良さそうな2章まで読んだ。
    • 3章以降を読むと幸せになれそうな人
      • 複数のチームの成果を調整する必要のあるリーダー
      • 成果を中心にしてプロダクトチームを再編成することを決めた人
  • アウトカムはビジネスに良い影響をもたらす人々の行動の変化
  • アウトカムをチームに与えることで、チームはアウトカムを達成するために実験し正しい解決策を実行できる

何を読んだ

なんで読んだ

  • プロダクトマネジメントやプロジェクトマネジメント関連の書籍を読んでいると、成果物、成果(やアウトプット, アウトカム)という言葉が出てくる。
    • が、それらの言葉の違いについてあまり理解ができていないように感じたため。
  • 弊社でも成果という言葉が使われることがある。
    • が、「そもそも成果ってなんだろうね?」という話を、私は他のメンバーとできていない。
      • よって、この本を読むことで他のメンバーの成果に対する認識を知ったりする機会につなげたいと思った。

印象に残っていること

アウトプット / アウトカム / インパク

本書では、Progra Logic Modelというモデルでアウトプット、アウトカム、インパクトの関係を示していた。

Program Logic Model

本書で記載されていた具体例を以下に示す。

小さな村に井戸を建設するプロジェクト

  • リソース
    • 人、材料、お金
  • 活動
    • 村への移動、材料調達、井戸の建設
  • アウトプット
    • 井戸
  • アウトカム
    • 村の人々が水を運ぶ手間が省ける(これまでは遠いところまで水を汲みに行っていた。)
  • インパク
    • 村の人々の生活水準が向上

アウトカムは人の行動の変化

an outcome is a change in human behavior that drives business results.

Seiden, Josh . Outcomes Over Output: Why customer behavior is the key metric for business success (p.12). Sense & Respond Press. Kindle 版.

「人」に当てはまるものは、組織によって変わる。 顧客、ユーザ、社員、ステークホルダーなどなど。

アウトカムを人の行動とすることで、測定しやすくなる。という説明があった。 個人的に、おおっ!となるほど気づきになった。

アウトカムは、測定できるよう定量的に。と説明されることがこれまで多かったのだが、 恥ずかしい話だが、「数字にしたらいいの?」くらいにしか考えられていなかった。

今後、アウトカムを設定する際は、アウトカムは人の行動の変化だと考え取り組みたい。

組織の立ち位置による「価値」の認識

Good leaders know to ask their teams to deliver value—in other words, don’t just deliver stuff, instead, do something that creates value for the organization. But “value” is a tricky word—it’s too vague to really get people aligned. One consequence of this vagueness is that it makes it hard to track the progress of work. In my experience, this is because leaders and the folks who execute the work tend to think of value at different levels of specificity.

Seiden, Josh . Outcomes Over Output: Why customer behavior is the key metric for business success (p.31). Sense & Respond Press. Kindle

「価値」という言葉はかなり曖昧。この曖昧さにより、仕事の進捗を把握することが難しくなる。

組織のリーダーと、仕事を実行する人達はそれぞれ「価値」に対して考えることが違う。

リーダーは、インパクトを考え、実行するメンバーはアウトプットとアウトカムを考える。

リーダーが気にしているインパクトの達成に貢献するアウトカムを設定したり、 そのことをリーダー・メンバーともに認識を揃えることが重要そうに感じた。

何によってチームを管理するか

アウトプット

  • チームに与えるもの
    • 何を作るか
    • 機能のリスト
  • 問題点
    • 実装した機能が顧客に価値を届けるとは限らない

顧客に価値提供できているかが、自身のモチベーションに繋がるような方だと、 やる気を出して取り組めなさそうだなあと感じた。

アウトプットによる管理によって、誰も使わない機能をたくさん作っちゃうケースが起こってしまいそうだなあと感じた。

インパク

  • チームに与えるもの
    • 収益UP! , コスト削減! , トライ!
  • 問題点
    • 具体性に欠ける。行動につながりにくい。

これは何度か経験した気がする。インパクト目標が悪いとかではなくて、 実際に活動するチームにとっては、大きすぎる、複雑すぎる。といった話なのだろうな。

インパクトとアウトカムをつなげて、リーダー層とチームの認識が揃うように取り組んでいくことが大切そうだと思った。

アウトカム

  • チームに与えるもの
    • ビジネスに良い影響をもたらす人の特定の行動を作り出すことを求める。
  • チーム
    • チームで考え、実験し、正しい解決策を実行できる。

アウトカムは、人の行動の変化なので、測定しやすいという特徴がある。 それによって、チームだけじゃなくリーダーも進捗が確認しやすくなりそうだ。

アウトカムの達成のために、「何をするか」は、チームに委ねられている。 自律的に活動することにモチベーションを感じる方にとっては、働きやすさを感じられそうだなあと感じた。

まとめ

アウトプット、アウトカムの違いって何?と感じている方々には特におすすめできる本でした。

また、チームのマネージメントをする方々にとっても、何か発見があるのでは??と感じられる本でした。

問いかけの作法: チームの魅力と才能を引き出す技術を読んだ

ハイライト

  • 問いかけは相手に質問を投げかけ、反応を促進すること
  • 良い問いかけ作りにはサイクルがある

読んだ本

なぜ読んだ

  • 自分に投げかける問いかけを改善することで、理解力が向上すると考えた
  • ビジネスサイドと話す時に、ユビキタス言語を発掘しやすくなると考えた
  • メンバーが意見を発せられるミーティングを設計したいと思った

印象に残ったこと

問いかけは未知数にライトを当てることで、投げかけた相手の反応を引き起こす行為

チームのポテンシャルを引き出す望ましい「反応」をねらって、どの未知数に、どのようにライトを当てるとよいか、「質問」を工夫すること。これが、問いかけの本質なのです。 安斎勇樹. 問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術 (Japanese Edition) (p.87). Kindle 版.

問いかけをする理由について納得できた部分だった。

また、新しいことを理解するときにもこの考え方は適用できると考えた。 理解したい対象の未知数にライトを当てるような問いかけを自分自身に対して行えると感じた。

例えば、主語の抽象度を変えて、「私にとって、この技術はどう役に立つのか?」とか「チームにとって・・・」。 または、制約を加えてみたり。

問いかけのサイクル

良い問いかけとは、「見立てる」「組み立てる」「投げかける」という3つの行為のサイクルによって成立している 安斎勇樹. 問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術 (Japanese Edition) (pp.119-120). Kindle 版.

良い問いかけにはサイクルがあると述べられていた。 より良い問いかけを作るには、フィードバックを取り入れた継続的なプロセスが大切なんだなあと気づきになった。

1つ1つのミーティングをぶつ切れにせず、フィードバックを次に活かせられるような仕組みづくりも重要だなあと考えるようになった。

見立ての精度を高める三角形モデル

見立ての精度を高めるために三角形モデルというパターンを利用すると述べられている。 下記は三角形モデルの構成要素である。

場の目的:ミーティングや1on1の目的

見たい光景:チームにとって望ましい状態

現在の様子:チームの現在の状態

安斎勇樹. 問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術 (Japanese Edition) (p.164). Kindle 版.

見立ての本質は下記のように述べられている。

対象Aは、Bと解釈できる」と、対象に新たな解釈のラベルを貼り付けること 安斎勇樹. 問いかけの作法:チームの魅力と才能を引き出す技術 (Japanese Edition) (p.131). Kindle 版.

私は、人間が何かに解釈を加えるためには、解決したい課題など特有のコンテキストが必要だと考えている。 三角形モデルはそのコンテキストを可視化するのに役立てられるなと読んでいて感じた。

DDDの文脈におけるドメインとサブドメインの関係を考える

要約

わかっていなかったこと

理解できるように参考にしたもの

ドメインとは

まずは、DDDにおけるドメインについて把握しておこう。

実践ドメイン駆動設計では、以下のように記載されている。

ドメインとは、組織が行う事業やそれを取り巻く世界のことだ。

実践ドメイン駆動設計 p41

Learning Domain-Driven Design(以下、Learning DDD)では以下のように記載されている。

A business domain defines a company’s main area of activity.

上記より、ドメインとは企業の主要なビジネス活動を行う領域のことだと解釈した。 特に、Learning DDDではbuisiness domeinという様に、buisinessとの関係を明示していることに気がついた。 個人的には、Learning DDDでされていたされていた説明がかなりしっくりきたので、今後はビジネスドメインと口にしていきたい。

また、Learning DDDで重要な点として以下が記載されていた。Nokiaってこんなにビジネスドメインが変わってきたのか〜と感じつつ、 ここまでビジネスドメインが変わると、ソフトウェアエンジニアもビジネスドメインについてたくさん学習しないといけないので、 ビジネス側の人たちとコミュニケーションをとった方が、効率的にビジネスドメインについての知識が蓄積されるのかな。とも思った。

It’s important to note that companies may change their business domains often. A canonical example of this is Nokia, which over the years has operated in fields as diverse as wood processing, rubber manufacturing, telecommunications, and mobile communications.

サブドメインとは

実践ドメイン駆動設計に記載されていた以下の内容が、サブドメインドメインの関係を表していると感じた。

複数のサブドメインを組み合わせて、組織の全てのドメインを作り上げることになる。

実践ドメイン駆動設計 p42

Learning DDDでは以下の様に記載されていた。Learning DDDの回し者みたいになってしまうのだが、説明が明快だなと感じる。 もしかしたら、Learning DDDは英語で読んでいるため、言語的特性(?)で説明が明快だと感じているだけかもしれないが。

To achieve its business domain’s goals and targets, a company has to operate in multiple subdomains. A subdomain is a fine-grained area of business activity. All of a company’s subdomains form its business domain:

また、以下の様にも記載されているように、サブドメインは、ビジネスドメインにおける目標を達成するために、相互にやりとりするということがわかる。 スターバックスの例は、すごくわかりやすかった。

The subdomains have to interact with each other to achieve the company’s goals in its business domain. For example, Starbucks may be most recognized for its coffee, but building a successful coffeehouse chain requires more than just knowing how to make great coffee. You also have to buy or rent real estate at effective locations, hire personnel, and manage finances, among other activities.

そして、サブドメインには、コアドメイン、汎用サブドメイン、支援サブドメインという3つの種類があることがわかる。 実践ドメイン駆動設計には以下の様に記載されている。

そこにはコアドメインと名付けられたサブドメインがある。

実践ドメイン駆動設計 p48

図2-2には、それ以外に二種類のサブドメインがある。支援サブドメインと汎用サブドメインだ。

実践ドメイン駆動設計 p48

見落としているかもだが、青い本はコアドメインと汎用サブドメインしか記載されていないかな??

コア(サブ)ドメインとは

ドメイン駆動設計では、コアドメインについて以下の様に記載されている。

競合時に優位に立つために、設計の一部の側面を秘密にしておく必要があるなら、それがコアドメインだ。

ドメイン駆動設計 p411

実践ドメイン駆動設計ではこうだ。

コアドメインとは業務ドメインの一部で、組織を成功に導くために最も重要なものだ。戦略的な意味において、そのコアドメインでは他を圧倒しているに違いない。

実践ドメイン駆動設計 p49

Learning DDDでは以下のように記載されている。Learning DDDでは、コアドメインサブドメインの1種類ということで、 core subdomainと記載していて、いいねと思った。

A core subdomain is what a company does differently from its competitors.

上記の引用文から解釈するに、コアドメインは、企業が競合優位性を生み出すための領域だと解釈できるのかな。 コアドメインに集中してリソースを投入すべき理由がわかった。

汎用サブドメインとは

ドメイン駆動設計では以下のように記載されている。

紛れもなくドメインモデルの一部なのだが、相当数のビジネスで必要になると思われる概念を抽象化している。例えば、輸送場、銀行業、製造業などビジネスが多様であっても、何らかのかたちで企業の組織図は必要になる。

ドメイン駆動設計 p414

Learning DDDでは以下の様に記載されている。

Generic subdomains are business activities that all companies are performing in the same way. Like core subdomains, generic subdomains are generally complex and hard to implement. However, generic subdomains do not provide any competitive edge for the company.

上記から、汎用サブドメインは、多くの企業で共通に行われている領域で、複雑で実装は大変な領域だが、企業に競争力を授けるものではない。と解釈しておく。

支援サブドメインとは

Learning DDDでは以下の様に記載されている。

As the name suggests, supporting subdomains support the company’s business. However, contrary to core subdomains, supporting subdomains do not provide any competitive advantage.

具体例も挙げられている。

For example, consider an online advertising company whose core subdomains include matching ads to visitors, optimizing the ads’ effectiveness, and minimizing the cost of ad space. However, to achieve success in these areas, the company needs to catalog its creative materials. The way the company stores and indexes its physical creative materials, such as banners and landing pages, does not impact its profits. There is nothing to invent or optimize in that area. On the other hand, the creative catalog is essential for implementing the company’s advertising management and serving systems. That makes the content cataloging solution one of the company’s supporting subdomains.

支援サブドメインはシンプルで、企業に競合優位性をもたらすものではないことがわかる。

Supporting subdomains are simple. Their business logic resembles mostly data entry screens and ETL (extract, transform, load) operations; that is, the so-called CRUD (create, read, update, and delete) interfaces. These activity areas do not provide any competitive advantage for the company, and therefore do not require high entry barriers.

汎用サブドメインと支援サブドメインの違いは、その領域が複雑かどうかかな〜。まだ、自分の中では言葉が分離できていない気がする。 どちらも、競合優位性を生み出す領域ではないということがわかった。

まとめ

DDDの文脈におけるドメインは、企業の主要なビジネス活動をする領域ということがわかった。 サブドメインは3つあり、コアドメインは、企業が競合優位性を生み出し、目標を達成するために重要な領域として捉えることがわかった。

まだわかっていないこと